第四章『戦争の鷲』 夢の対決!FVSギルス
 ハイエナ殺し、彷徨える復讐王ギルスはアフリカ最強の鷲戦士。
 流星のごとく現れ、ハンターとの死闘、カンムリクマタカ最強の称号を得た黒い悪魔F。
 ギルスは初飛行を早めたがために、地上に落ち、ハイエナに狙われ親を失った。
 Fは親さえいなかった。
 アフリカ最強をかけた戦いは、戦争の続くナイジェリアの荒野で、両雄の生き様をかけて激突する。
 【戦力徹底比較】
 カンムリクマタカVSゴマバラワシ、アフリカ最強をかけた夢の対決を徹底比較!

 ゴマバラワシ、その狩りの猛威は凄まじい。37kgのダイカーを仕留め、サーバルキャット、セグロジャッカルも獲物にする体力、滑空能力においてはカンムリクマタカより上。カンムリクマタカが勝るものは、爪の威力とスピード。
甲乙付けがたいアフリカ二強の結末はいかに!

『鷹戦士F』 第四章 戦争の鷲−本文抜粋


 その日は夜のうちに大雨が降りしきり、朝になっても重たい雲は空に立ちこめて動かない。遠くの空では戦争が本格化し、銃声は爆音にかき消され大地は揺れ動き、シマウマやヌーの群れが危機感を背中に遠い草原へ地響きを立てて走り出す。
 西の空からギルスが殺気を引き連れて不気味に飛んできた。
 行き場のない憎しみを引き連れて。
 どちらが命を落としても文句なしの世界、それがスカイファイター。Fに同行してきたスカッドが願うことはただ一つ、どちらも助かって欲しい、ただそれだけだった。
 まずは高いポジションを取ることから始まった。両者は上昇気流を使って高く上った。Fは素早く掴みかかる。ギルスは迎え撃ち、両雄は空中で互いの脚をつかみ合った。そしてそのまま引っ張り合い錐もみ回転しながら落下する。竜巻の真っ直中にいるような遠心力と風圧を受けながらの力比べだ。羽の強さはギルスだが握力はFが勝った。
(指が!)
 ギルスの指が一本折れた。これ以上降下すれば地球と激突だ。Fも同時に離れると、今度はスピードにものをいわせてギルスの背中を蹴る。羽がむしり取られ血が吹き飛ぶ。
「爪のF、怪力のギルスか」
 スカッドはただその戦いの空を旋回し続ける。スキを付いて上空高く舞い上がったギルスが急降下に転じFを襲う。あの巨体で上空からたたき落とされたらジャンゴーの二の舞だ。Fは瞬時に垂直上昇するがギルスは読んでいた。
〈カンムリクマタカの垂直浮上はお見通しだ!〉
 Fは交わしきれずに背中を蹴られて吹っ飛ぶ。ギルスはここぞと追い打ちをかけて再び背中を蹴った。重い蹴りにFの身体が沈む。
 Fは水平飛行のスピードでギルスを突き放した。
(もろに入ったら死ぬかもしれねえ)
 両雄は再び向かい合い、脚を突きだし合う。
(勝負だ!F)
当サイトでは 画像、文章含め一切の複製、転載、配布を禁止致します。
Copyright©2000- ArtSider All right reserved.