第五章『生きる戦い』 カンムリクマタカ最強の鷹戦士FVS百獣の王ガイン
 百獣の王、ガインはサバンナの最強王。30頭ものハーレムのボス。旅の途中でFとすれ違う。
ガインを王と呼ぶならば、Fはサムライ。二雄の生き様がぶつかった。
 【戦力徹底比較】
 Fの絶対的スピードはライオンでは歯が立たない!

 オスライオン、その破壊力は地を這う生き物にとって恐怖以外の何者でもない。しかし、相手が空のものになるとそのパワーは通用しない。オスライオンはひとかみに全てを懸けて挑む!

『鷹戦士F』 第五章 生きる戦い−本文抜粋


「おい、鷹」
Fがふり向いた。
「お前達鳥は惨めだな。そうやって地上の動物から逃げ回って空にいやがる。俺の前まで降りて来い、そんな度胸があるか」
 ガインがニヤリと笑ったそのとき、Fはガイン目がけいきなり急降下する。ガインもさすがに恐ろしくなって捕まえようとしたが目にも止まらぬ速さだ。Fはその背中を引き裂いて舞い上がった。
「貴様あ、降りてこい!」
 背中がビリビリと痛むが自分は悠然と空を舞うFに傷を負わせるどころか攻撃する権利すらない。地を這う全ての生き物は、ただ相手任せに待つしかないのだ。

Fは自在に飛びながら低空飛行すると再びガインと向き合った。ガインが今度は走って素早く捕まえようとするが得意の垂直浮上でまたも交わされた。地を這うおまえは俺の敵じゃないと、Fの行動がガインにはそう聞こえた。しかし、悔しいがどうしても速すぎて捕まえられない。
 その行動は数時間続いた。Fはガインとの戦いを楽しんでいるのだ。
「おまえ、鷹戦士か」
 疲れてケンカに飽きてきたガインが戦いを終わらせたそうに身構えるのをやめ、声をかけた。
「そうだ、もう終わりか」
「昼寝がしたくなった。ここはおまえの勝ちにしておいてやろう。昼寝の邪魔だ」
ライオンは一日の半分以上を寝て過ごす。ガインはドスンと座り横たわった。Fは大空に舞い上がった。しかしそれから二人は、顔が合うたびに話をするようになった。ストレートにぶつかり合うことで生まれた友情だ。
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