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Apollyon
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◆Apollyon Story◆
紀元前5312年〜宇宙歴1年〜戦国末期9975年迄

 Apollyonには三人の主人公がいる。王道のベガス、覇道のゲスラー、そして剣道の鷹輝流。
時は宇宙歴に始まって、9900年代末期。
グラザード帝国とスペリオラ自由主義国連邦の二大帝国の、奇跡的遭遇を宇宙歴1年として宇宙連邦が、設営されて崩壊以後、全宇宙には戦国時代が訪れる。
 一つの国が、いくつもの領星を持ち、勢力を拡大し国と国が戦う時代。

 ベガスは正義による統一を掲げ、部下と全領民を魅了する。また理想ばかりではなく、自分の敵をも味方に巻き込んでしまう魅力を持ち合わせている。剣においても新星流を使う北宇宙最強の剣豪。常に最高の地位に君臨してきたため、自分で自分を追い込んでいく彼の王道に期待を抱くすべての人々からのプレッシャーは計り知れない。
 部下の裏切りに遭い、以来その性格は変わらずも、王道は変わっていく。

 ゲスラー、名もなく地位もなく、孤独な少年時代、我流で鍛えた槍術と策力で星のボスになるも皇帝リボーに攻め滅ぼされ部下になる。暴君リボーの部下として戦争の奴隷として過酷な戦いの日々をおくるも、我が部下を増やしリボーを謀殺。全軍を乗っ取る。
 目的到達のためならば手段を選ばぬしたたかさを持つが、領民に対しては誠意ある統治をする優しさも持ち合わせている。南宇宙最強の槍豪。

 鷹輝流、それは鷹輝流としか表現できないとジャルドが言った。峯崎軍鷹帝でありながらもその過去から出生に至るまでは謎に包まれている。剣豪にして天才、全ての将軍や軍人に対しては残忍非道な悪魔。彼の領拡大方法は、すべてが乗っ取りという血肉を流すやり方だが、領民に対しては律儀ある統治をする。
 戦国社会の、すべての掟が、彼にとっては斬るべきもの。

 この全くタイプの違う3人の主人公が、それぞれの道をかけて宇宙統一をかけて戦う。
 最後に生き残る者は誰だ!


 SF戦国記Apollyon

 序章 宇宙連邦の崩壊

 宇宙、それは無限。
 野望、それは無限。
 宇宙、それは未知。
 心、それは未知。
 戦国、それは本性。

 来たる宇宙の戦国時代、例え小さくとも命は1つしかない。だから人は命を守るために、命を奪い合う。それらの中で奇異なる命は、そのたった1つの命を自ら懸けることによって、たった1つしかない自我の世界に生きる道を見つけ出し、身を投じる。
 それを夢という。
 それを、野望という。


 時は未来。もう一つの宇宙。軍事・科学力の先端を行く宇宙人類が、宇宙開拓を掲げて宇宙を旅し、他の宇宙人類と遭遇した。
 アンドロメダ大星雲発祥のグラザード帝国と大星雲スペリオラ自由主義国連邦。高度な文明と莫大な領星を持つ宇宙人類同士の奇跡的な遭遇。
 両宇宙人類はこの遭遇を友好的なものにし、宇宙の平和を祈願して条約を結び、当年を宇宙歴1年として宇宙連邦を創設。
「戦争をしてはならない」
「宇宙人類の平和と発展」
を趣旨に、本部をRD−531星雲のイストランドに設立した。50年後、彼らは他の知的生命体ゾンバ星人と遭遇する。彼らは戦闘民族で分裂した国家同士が戦争を起こしていた。その容姿は肌が黒色で分厚く、目は赤く脅威を与えた。知能、身体能力は発達していたが、恐ろしい容姿と遅れた文明に偏見が生まれる。彼らは両大国の勧めにより宇宙連邦に入ることを余儀なくされ文化の侵略が徐々に現れ出す。
 広大なる宇宙のあらゆる空間へ自由に移動することが可能となり未知の知的生命体との遭遇は頻繁に起こるようになる。灰色や青色、赤い肌、目が三つ以上、あらゆる奇異な造形、更には特殊能力・運動能力・身体能力を持つ宇宙人との遭遇により宇宙連邦の容姿から来る偏見は徐々に減り、一方で決定的な上下関係を決めるものは文明、科学力へと変わっていく。知力が同等でも歴史、文明の差によって遅れている星は、進んだ星に技術協力を依頼する。
 そして各宇宙国家が平等であるという宇宙連邦の法律をほのめかしながらも、事実上は二強国いずれかの支配下国という関係が暗黙の了解になりだした。こうして宇宙歴は500年を迎える。
 グラザード帝国、スペリオラ自由主義国連邦の領域、国力は絶大なものになり身体能力の優れたゾンバ星人は奴隷貿易されるようになった。二大強国間にはすでに友好的な関係はなく、新たに遭遇した宇宙人類に対しては自国側の支配下国とした。
 嵐を予期させる宇宙に出没した革命家マギーニが、宇宙連邦に新制度を確立させる。
宇宙国家が、資本主義、社会主義、共産主義といった政党によって分けられ、そこから勢力争いが起きるという事態を根こそぎ無くすため、宇宙連邦内での派閥というものを廃止し、国はそれぞれに独立したものであり、まったく干渉し合わない、という単純だが画期的なものであった。さらに大国が小国を侵略した場合には利害関係なく「宇宙連邦軍」が、武力行使した国に制裁を加えるという制度もマギーニの手によって確立される。
 これにより宇宙全体が平等化し、グラザード帝国、スペリオラ自由主義国連邦の支配下国は次々と独立し、それぞれの星の文化が重んじられ、宇宙に真の平和がおとずれた。
 反面、二大強国の力は衰えた。
 マギーニは常に宇宙の平和を訴え続け、その生涯を閉じる。そしてこの時代に宇宙は、中世期、現代、近未来の各時代の文明において東洋的・西洋的・多岐に渡る無数の文化が生まれた。また、強国の文化に、他星の人々はあこがれ、その星独自の文化は先進国の文化に飲みこまれていく事が多くなり自国独自の文化は歴史的な遺物を含み殆どがごく限られた場所で生き残っていく。
 グラザード帝国は英国系EDKの文化、スペリオラ自由主義国連邦は米国系MKDの文化に分類される。人々の考え方や風習、建物や服装に至るまでが、未来的な建築物の中にも、英的、もしくは米国的、という文化をアルファベット3文字で表記するのだ。
 宇宙全体の文化の種数は無限大である。当然のごとく、長い年月を経て、宇宙人類が繁栄し広まっていくと共に、この二国の文化が大きく流行する。
 マギーニの意志は息子のユマネスに受け継がれる。平和と繁栄を掲げた宇宙連邦の新たなる任務は国際協力・発展途上星への技術協力だった。ユマネスは進んだアギラ社会主義連邦(ロシア系RDF)の技術を他の星へ伝授させるよう働きかけた。
 やがて技術交換が盛んになりだし、アギラ社会主義連邦は他の星からも自国にない技術を得、また信頼を得た。
 一方グラザード帝国は過去の栄光にとらわれ以前のような積極的な外交は控え、帝国というスタイルを守るべく鎖国状態になった。帝国主義の裏側には、帝の取り巻きが私腹を肥やすために現政治を継承せねばならないという重臣達の陰謀があった。しかし星内でも革命は起き、その度に無惨な処刑が繰りかえされる。全宇宙から見てグラザード帝国は、閉ざされた巨大強国として、依然恐れられる。
 スペリオラ自由主義国連邦は大統領の権限を絶対的なものとし、表面では平等を言いながらも、密かに宇宙のリーダーになることを企みつつ武器の開発に力を注ぐ。
 二大強国が風化していくなかでアギラ星は目覚ましく発展し宇宙一の科学力を得、その最新の技術を盗むべく二大強国はスパイを大量に送り込むようになりだす。
 そんな最中、ユマネスは同じアギラ星のカエイザーの手によって暗殺される。しかもその暗殺者をグラザード帝国のスパイの仕業と国民に報じた。
 このカエイザーは帝国側とも内通していた。狂気たる彼の目的は宇宙征服。
「悪を滅ぼせ」の大儀名文を掲げ、宇宙連邦の力を借り帝国征伐に乗り出す。
 グラザード帝国はカエイザーこそ宇宙を乱す悪の使者と、そしてそれに加担するものは全て悪と、この戦争を受けて立つ。
 当時の戦争はレーザービームが主流になりつつあった。レーザーが次々とミサイルを撃ち落とし、敵に当たる前に爆発されるようになったためだ。どの国もレーザーの開発に勢力を注いだ。
 この時、劣勢が予想された帝国側に一人の天才が現れる。アドリーダ・ガブリエル、彼は宇宙一強力なレーザー砲を開発、駆使し、たぐいまれに見る戦術で連合軍を翻弄し、莫大な被害を被る。スペリオラ共産主義国連邦は中立という立場を装いつつ両国に大量の武器を売り込み、巨万の富を得る。
 宇宙は再び三つに割れた。
 戦争は勝負がつかずに終わり、この頃から帝国は宇宙連邦を脱退し、新たなる星の侵略を始めた。「富国強兵」を合言葉に帝国は独創の国家を作るべく動き始め、武力による復興に国民全体が一丸となった。
 帝国は宇宙統一を掲げ、未知なる宇宙人類の征服を始める。他の二大勢力もそれに対抗するには、同じ手段を取るしかなかった。三大勢力は他星を侵略しながら国力を更に増強させていく。こうすることにより宇宙大戦は防がれた。国力が同等であれば戦争は起きない。こうして「にらみ合い」と呼ばれる時代が350年続いた。
 そしてスペリオラ自由主義国連邦はアギラ星と合併し、巨大国家を作り上げた。これによりバランスは大きく崩れ、その25年後に戦争が起きた。宇宙が一つになれば戦争は起きないと言う思想が大流行し、その大きな流れの中、少数の戦争反対派は暗殺され消えていった。アギラ星の革命家マギーニの奇跡の再来を願う者もいたが、
「それでも平和は続かなかった」という結論に導かれた。
 戦争は400年続いた。
 大戦は宇宙を荒廃させた。そして有利に戦っていたスペリオラ自由主義国連邦側で内乱が起きた。領星を祖国とする人々が立ち上がり、あるリーダーを中心とした巨大な軍が出没する。国も人種も全く関係ない、リーダーを中心とした巨大組織、戦国将軍が登場する。 彼らは、力を持つことによって我が身を守るという趣旨を持っていた。
「所詮宇宙を支配するのは力だ。我ら知的生命体はこの簡単な答にたどり着くのにあまりにも莫大な月日を費やした」
 その将軍の名はギオルドス、日本系文化KFW。彼こそ神と呼ばれた伝説の剣豪である。
 この時代になり、大きく戦争の形式も変わり始めていた。バリヤーの開発と防具、鎧が軽量化し、強度・硬度も破壊不能なまでのものが開発されだしていた。
 誰しもが惜しい命、だからこそ防御兵器の技術は頂点を極めた。こうして銃もレーザーも核兵器も効かない不死身のスーツを着た戦士達による肉弾戦が戦の主流となりだす。
 そして再び武器が開発される。
 ギオルドスはこの時代にA(アバダン)ソードという剣を開発した。
 アバダンは破壊者、死、滅ぼす者という語意を持つ言葉。
 人間が持つ気心力のエネルギーを剣に集中させることによりAソードは万物を切断する。科学力だけでは、どうしても作る事が出来ない人間のオーラを利用したこの武器こそ、宇宙史上最強の、武器兵器となる。
 これにより無敵のスーツが切断され生身の肉が斬られ、戦争の形態は大きく変わった。
 彼は宇宙至上有数の天才であり、この剣を大量生産し、巨大大国を巧みな戦術と斬り合いによって崩壊させていく。
 スペリオラ共産主義国連邦はその15年後に崩壊、グラザード帝国は条件付き降伏という形でギオルドスの支配下に落ち、国王とその貴族達のみが細々と生きる。
 力こそ正義の思想の元に、ギオルドスの巨大帝国は栄えた。しかし時代は繰り返す。このAソードを使いこなすための、剣の訓練を徹底した将軍が次々と現れ革命を起こし、また剣も更に改良された。ギオルドスの帝国は五年で荒廃し、勢力は分散し、戦国時代が訪れた。
 攻撃兵器と防御兵器の進歩は最先端を極め、戦の主流は最強の防御兵器の鎧を身につけた人間同士が最強の攻撃兵器を持っての斬り合いに逆戻りする。
 そして宇宙戦場の開発。それは宇宙空間に敷かれる赤い電磁波の面。その面の上を兵士たちは自由に闊歩出来、Aソードで敵艦隊に斬り込み、雌雄を決するのだ。斬り合いが主流となった当時代で、領星民に被害を及ぼさないため、また宇宙空間を進軍する敵軍をすべて捕まえて、敵将軍を必ず、逃さず殺すためにギヘンダーという科学者が発明した。
 星と、領星民に危害を及ぼさず、宇宙空間で敵対する軍同士で戦争を決着させる、この思想は武士道精神に沿うものとして、ギヘンダーはあのグラザード帝国を含め多くの国々から表彰を受けた。
 そして何より莫大な数に及ぶ領星民の指示を受け、宇宙戦場を多用する将軍は絶大な信頼をえた。また宇宙戦場普及組織が発足、全宇宙に広まった。
 民間人を戦争に巻き込んではならない、この思想を持つ人々により宇宙戦場を使う将軍の国民による革命は少なくなり、宇宙戦場は全宇宙の、軍を率いる将軍たちにも普及していった。宇宙戦場の開発はさらに進み、敷かれる電磁波の面も水平面から、起伏のある面まで自在にコントロールされるようになり、その面積も開発を進めるにつれ広大無辺に広くなっていった。この宇宙戦場は∞のパワーを持つ磁石と同じ原理で、一度捕らえたら発射した側が解除の操作をしない限り決して逃げられない。少軍隊や宇宙海賊からは死の電磁波として恐れられた。更に防御兵器の開発は進み、レーザー砲撃は反射系金属の開発により効力は更に薄れていく。
 ミサイル、レーザーの効力が薄れていく時代、最後まで信じられるものは科学力ではなく、わが肉体、そして我が剣となった。

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